蜜蜂
.




「友達なんです、同じ学校の同じ学年で。」


「えーそれだけ?つまんなーい!」


杏花の答えに、束沙は残念そうだった。


「友達…か。」


「千明?」


「なんでもない。」


俺は笑顔で返した。




言葉にすると、重くのしかかってきて。
まだ、そのポジションで満足していたはずなのに。

彼女のその言葉が、胸に突き刺さる感じで痛かった。





「あー千明ちゃんだ!」


店の扉が開き、上についてる鈴の音とともに名前を呼ばれた。


「あ、本当だ。バイトサボってるし。…頭にガーゼ?」


「…あちらも千明のお知り合い?」


杏花がレアチーズにフォークを突き刺しながら、聞いてきた。
俺はため息をつく。


「明菜(アキナ)と美咲(ミサキ)。見ての通り双子、一卵性双生児。俺の姉。」


紹介するのが面倒になってきた。



.
< 117 / 203 >

この作品をシェア

pagetop