蜜蜂
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「…みんな、すごいね……。」


「ごめん、うるさくて。」


「んーん、楽しそうで素敵な人たちじゃない。ただ…」


「ん?」


「…本当に千明より年上なのかなぁって。」


「あー…よく言われる。まず束沙が見た目おっとりしてそうだけどあんなだからなぁ…、美咲もだし、俺も疑いたくなるよ。でも、明菜はしっかり者。」


「うん、そんな感じ。」


杏花はレアチーズを食べ終わったらしく、フォークをおいた。
そしてコーヒーに手を伸ばす。


「そういえば語るんだっけ?何語るの?」


彼女はカップを持ち上げながら首を傾げた。
あぁ、そういえばそんなこと言ったな…。


「んー…語るって言っても面白くないけど。」


俺もミルクレープを口に運んだ。


「いいよ、どうぞ語って?ちゃんと聞く。」


何気に興味津々の彼女に、少し笑った。





「俺が女に優しくする理由。」



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