蜜蜂
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俺はリカの手を振り払った。


「ちぃちゃ…」


リカが驚いた顔で俺を見る。


「俺、今のリカちゃん嫌い。」


俺は気にせずそう言って、リカに背を向けて歩き始める。


「…なんで、なんでそんなこと言うの?ちぃちゃん変だよ!」


少しヒステリック気味に、戸惑ったような声で引きとめられた。



なんで?



俺は足を止め、ゆっくり振り返ってリカを見る。
一瞬怯むリカを見て、自分が今どんな顔をしているのか気になった。




「だってさ、綺麗だと思えないんだもん。」




努めて笑顔で口にした言葉。
リカはそのまま固まってしまったので、俺はまたリカに背を向けて歩き出す。


彼女の心にどう響いたかなんて知らない。
邪魔するなら、近づかないで。




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