蜜蜂
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「…探し物は"きょうかちゃん"?」
「…」
「なぁに?そんなに見ないでよ」
凝視している俺に、恵里佳はからかうように笑った。
それでも俺は恵里佳から目を離すことなく睨みつける。
「あ、疑ってるんでしょ?
あたしが名前知ってるのわかってるもんね。
でも、残念でした」
恵里佳が顔を近づけてきた。
クスクスと笑い声が聞こえる。
「ちゃんと知ってる。二年二組の澤木杏花ちゃん。
あの黄色い子、でしょ?」
「…なんで」
驚いたのを顔に出さないよう、努めた。
でも、声は少し震えた気がする。
「だってあたし、一回会ったことあるし。
この前、澤木さんが眼鏡かけてるの見て思ったの。
確信に変わったのはこの前。
資料室で千明が澤木さんの名前呼んだ時、ね。」
腕を組みながら恵里佳はそう言った。
告白シーンを見られたことよりも、周辺に人がいたことに気づかなかった自分を呪いたくなった。
その瞬間、亜也の言葉が脳裏をよぎった。
『きぃの腕とか脚とかにたぁくさん痣があったの!』
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「…探し物は"きょうかちゃん"?」
「…」
「なぁに?そんなに見ないでよ」
凝視している俺に、恵里佳はからかうように笑った。
それでも俺は恵里佳から目を離すことなく睨みつける。
「あ、疑ってるんでしょ?
あたしが名前知ってるのわかってるもんね。
でも、残念でした」
恵里佳が顔を近づけてきた。
クスクスと笑い声が聞こえる。
「ちゃんと知ってる。二年二組の澤木杏花ちゃん。
あの黄色い子、でしょ?」
「…なんで」
驚いたのを顔に出さないよう、努めた。
でも、声は少し震えた気がする。
「だってあたし、一回会ったことあるし。
この前、澤木さんが眼鏡かけてるの見て思ったの。
確信に変わったのはこの前。
資料室で千明が澤木さんの名前呼んだ時、ね。」
腕を組みながら恵里佳はそう言った。
告白シーンを見られたことよりも、周辺に人がいたことに気づかなかった自分を呪いたくなった。
その瞬間、亜也の言葉が脳裏をよぎった。
『きぃの腕とか脚とかにたぁくさん痣があったの!』
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