蜜蜂
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今度は歩きながら切り出してみた。
この話題のほうがちゃんと止まって話すべきだったかもと、今更ながら思った。


「……」


反応のない澤木ちゃんを、横目で盗み見する。
するとそこには、目元を少し赤らめ慌て始める、今までの会話からじゃ想像も出来ない彼女がいた。


「…急に何言い出すの。からかってるならやめてくれる?」


「や、からかってないし。
大丈夫、これは千明の命令じゃなくて俺が興味あるだけだから」


俺が騎士役を引き受けたのは、このためだ。
進展のない二人を、見ててもどかしかったから。


「で、そこんとこどうなわけ?
かなり気になるんですけど。」


歩きながら彼女に詰め寄る。
少し体を引きながら、彼女は目を泳がせていた。




「…わかんない。」



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