蜜蜂
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視界には、俺の言葉に驚く里佳がいた。



「今まで言葉はあげたけど、キスなんてしたことないでしょ。
…今まで以上を望むんならさ、他の男んとこ行ったほうがいいよ」



そう言って、里佳の頭に軽く触れた。


「っ、じゃあなんで、なんであの時綺麗じゃないなんて言ったの?
言葉ならくれるんでしょ?」


訴えるように言葉を発する里佳。



『だってさ、綺麗だと思えないんだもん』



そんなことも言ったなぁと思いかえす。
それと同時に、あのころは彼女がそばにいたのに、と、少しやるせなく思った。




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