蜜蜂
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俺に文句を言ってきたのは、ぎんぞーこと羽田野銀蔵(ハタノ ギンゾウ)。
今年三十路のかなり男前な保健医。
背高いし、見た目いいし、転任当時は騒がれてた。
が。


「てかさ、ぎんぞーがそんなふうだから誰もいないんだよ。
男子だって怖がって近寄んねぇじゃん。
俺がここにいるのはぎんぞーのせいなの」


顔だけぎんぞーの方を向けて愚痴る。
すると、


「黙れ。
まず生徒がいたらうるさいし、女生徒なんて香水臭いし。俺に害が及ぶ。」


眉間に皺を寄せながら吐き捨てる言葉は、外見とは酷く異なりすぎていた。

天上天下唯我独尊人間。
じゃあなんで保健医になんてなったんだよ。


「…勿体無いよなぁ」


俺は、聞こえない程度の声で呟いた。


「で、どうした?最近来なかったくせに」


「…うわ、なんか保健医っぽい」


「保健医だっつってんだろ」


や、多分保健医そんな不良っぽくないから。
保健室で煙草吸おうとかしないから。



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