蜜蜂
.





千明は、閉じこもっていたあたしに手をさしのべてくれた初めての人だった。



髪のことでハブられてるって知って、次の日髪を赤く染めてきた。

あたしよりはっきりした赤色に。

もちろん先生に捕まって怒られて、何故かあたしも一緒に怒られて。
おかしくなって、怒られながら笑ってた。


昼休みにわざわざクラスに来て話しかけてくれて、みんなと話せるように助けてくれた。




千明がどんな女の子にも優しくて、ほうっておけない性格っていうのは後から知ったけど。
その中の一人でもよかった。

話しかけて、返事をしてくれて、一緒に笑えればよかった。
それだけで十分だった。




千明が誰かを好きになるまでは。



.
< 176 / 203 >

この作品をシェア

pagetop