蜜蜂
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あれから結構月日が経って、あたしの周りにはいつでも誰かがいてくれた。
同じ趣味の友達。
いつも笑える日常。
全部、千明がくれたものだった。






休日、他校の友達と遊んでいる時に千明を見つけた。
カフェの中で女の子とお会計してるところ。


「千明?」


声をかけると、赤色から戻してしまった茶色の髪がフワリと揺れた。
いつもは顔色なんて変えないのに、少し驚いた顔をするから、その子が本命なんだって気づいた。

真っ黒な髪の、清楚そうな子。

千明が全部の女の子切ったっていうのは、他の子達が言ってたから知ってる。



「彼女じゃなくてもいい、二番でいいから、前みたいに遊んで?」



知ってるけど、離れたくなくて。
ただそばにいたいだけなの。
思いきって言った、告白まがいな言葉。
初めて口にした。


でも、玉砕。
千明はあの子に夢中なんだって。
あたしのこと相手に出来ないんだって。
わかってたことなのに、心が潰れそうになるほど苦しかった。




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