蜜蜂
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「千明」



教室後ろの戸口から俺を呼ぶ声。
顔をのぞかせていたのは、


「恵里佳?」


「ちょっといい?
時間的にはちょっとじゃないんだけど…」


それは話が長くなるということだろうか。
俺は立ち上がり、恵里佳のそばまで歩く。


「…時間かかるなら昼でもい?
もう授業始まるし」


「ああ…そうね。じゃあお昼に話聞いて。
場所は後でメールするから。」


時計を確認しながら言う恵里佳に、「ん」とだけ答えて席に戻った。


「…なに話って。告白とか?」


亜也がさっきと同じ体勢で尋ねてきた。


「さあ…別にどうでもいいけど」


「うーわ、千明冷めすぎ。
あいつ…杉原さんだっけ?可哀想ー」


ヒカリがオーバーリアクションをする。
俺は長くため息を吐いた。



「興味ない。
あいつじゃないならそんなのいらない」



他の誰に何を言われても駄目なんだ。
もう、心が受け入れようとしないんだ。


「―、」


ああ、また泣きそうになる。
ぎんぞーのせいだと、思い込もうとした。



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