蜜蜂
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ぎんぞーの椅子に座って俺を手招きする。
俺は苦笑しながら後ろ手で戸を閉め、一歩だけ前に進んだ。


「話って何?告白なら教室戻るけど」


「そんなのじゃないわ。
千明はみんなのものなのに、あたしが独り占めするなんて言語同断なのよ。
今度はあたしが標的になっちゃう。」


恵里佳はクスクス笑い、続ける。


「話聞いてっていうのは嘘。
あたしは千明に聞きたくて読んだの。」


恵里佳は立ち上がり、伸びをした。



「…"みんなの千明"はどう?楽しい?」



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