蜜蜂
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一瞬、何が起きたのかわからなかった。


大きな音をたてながらバランスを崩し、視界が暗くなったと思ったら、恵里佳に抱きしめられていた。
床には机にあったものが散乱している。


「恵里佳…?」

「ごめん、ごめんなさい」


俺の頭を抱え込むようにして、そう言う恵里佳。
顔は見えないが、腕が小刻みに震えているから泣いてるんだと思う。


「なんで恵里佳が謝るの?恵里佳は悪くないでしょ?」


なんとか涙を止めて尋ねた。
片手で二人分の体重を支えながら、空いた片手で恵里佳の頭を撫でる。
恵里佳はただ首を横に振るだけで、言葉にするのは「ごめん」だけだった。


「んー…とにかく離れない?
体勢的に俺の腕痛いし、ちゃんと話できないし。」


そう言うと、しばらくして恵里佳は離れ、俺の前にペタンと座る。
向かい合わせだが、恵里佳が下を向いているため顔は見えなかった。



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