蜜蜂
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「あー!やっぱり千明だぁ!」


女は嬉しそうに俺に駆け寄ってきた。
俺は少し顔をしかめた。
化粧の臭いと甘ったるい言葉遣いに吐きそうになる。


「…あたしら全員切って違う子といるんだ?あの子だぁれ?」


カフェを伺いながら俺に尋ねてくる。


「いいじゃん、誰でも。」


俺は女から杏花が見えないように間に体を割り込ませながら、女の言葉をスルーした。


「…ようするに本命ちゃんってわけか。
うちらとは真逆の子っぽいねぇ、眼鏡だし。知的な感じ?
あ、眼鏡外したら結構可愛いじゃん。」


女は実況中継のように、杏花の仕草を見て感想を述べた。


「…ねぇ千明、あたし一番じゃなくてもいいよぉ?
彼女じゃなくてもいい、二番でいいから遊んでよ?」


俺の服の裾を掴んで覗き込むようにねだってくる。

少し驚いたのと同時に、都合のいい女だと思った。
友達として一緒にいたのに、俺に本命できたら彼女にしてとかさ。
そんな仕草されても可愛くない。


「…てかさ、二番って何?」




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