蜜蜂
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ただ、そばにいたいだけなのに。





君には俺なんて必要ないんだと、実感した瞬間だった。











「千明、もう会うの禁止ね。」


校舎裏で別れようとしたときの彼女の言葉。


「会おうとするのもやめて。」


「…なんで?」


「最初に約束したじゃない。表では関わらないんでしょう?
でも今、こうやって約束破ってる。これ以上破るなら、私メアドも電話番号も変えるから。」


何も言えなくなった。
会えないことよりも、繋がりを絶たれるほうが怖かった。
きっと、彼女の性格からして本気だろう。
だから、ますます怖くなった。
彼女はきっと、自分の中から排除したら忘れてしまうだろう。




俺は彼女にとって、それほど重要な人間ではないんだ。



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