蜜蜂
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「で、進展は?」


「…亜也、今授業中。」


「答えろ。」


「…。」


何故授業中に尋問されなければいけないのか。
物理の山岸が睨んでるの、こいつ気づいてないのかよ。
寝たい。


「ないよ何も。」


「本当に?」


「何を期待してるの。」


「ちぃと"きょうか"ちゃんがくっつくこと。」


「ないかもしれないじゃん。」


「マイナス思考だなぁ。ちょっとはプラス思考になって夢見ようよ。」


「見れたら見てるよ。」


苦笑いをして、それ以上答えるのはやめた。
答えないという意思表示に、机に伏せる。




夢?ずっと見てるよ、呆れる程。
ただ、見れば見る程、今とは違いすぎて。
知ったんだ。

夢を見るのは幸せだけど、最後には虚しくなる。

彼女がそばにいないことを思い知らされるから、もうやめたんだ。




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