蜜蜂
.







俺を見てよ。





「…ちぃ、どうしたの?教室戻らなきゃ授業間に合わないよ?」


「…あぁ、ごめん……。」


亜也の声に我にかえる。
ずっと彼女のいた所を見つめたまま、動かなかったようだ。


「大丈夫か?誰かに見惚れてたとか?」


笑いながらそう言うヒカリに、苦笑いしか向けられなかった。




彼女が無視するのはわかりきっていたのに。
どうしてこんなに悲しいんだ。

もしも許されるなら、大声で名前を呼んで抱きしめるのに。




.
< 65 / 203 >

この作品をシェア

pagetop