蜜蜂
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屋上の鉄製のドアに目を向ける。
軋む音とともに、蜂蜜色がちらつく。
ドアを開けたんだから、こっちにくればいいのに。
しょうがない。


「澤木」


「うえっ、あのっ…、なんだぁ千明か。」


「俺でがっかり?」


「ほっとしたんだよ。」


少し緊張の見える彼女の笑顔に、俺も笑い返した。


「あー!」


いきなりの叫びに驚いて後ろを見ると、ヒカリは目を丸くして、亜也はこちらを指差していた。


「澤木杏だぁぁ!」


亜也がそう言いながら、杏花に強烈タックル。そのまま抱きつく。

「どうしよう」と言うように、俺に目で訴えてくる杏花。
そんな二人を見て亜也を羨ましいと思いながら、久しぶりにその名前を聞いたなぁと懐かしく思った。


「おい千明、何でここに澤木がいんだ?」


「いいじゃん、俺が呼んだの。亜也、澤木困ってるから離して。」


「えー、だって澤木ちゃんだよ?可愛い子には抱きつかなきゃ損でしょう?」


「それは俺も思うけど。」


「千明!」


半分本気で話していると、杏花が俺を呼んだ。
もう睨んでるのか助けを求めているのかわからない。




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