蜜蜂
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「ねぇ亜也、千明とヒカリ君知らない?」


「ちぃとヒカリ?」


少し離れながら聞き返す。
最近きぃはヒカリをヒカリ君と呼ぶ。
これはヒカリの希望で、なんでも、きぃには君付けで呼んでほしいとか。
ロマンなんだってさ。
あたしには理解出来ない。


「ちぃとヒカリなら職員室だよ。科学の実験で器材壊したから呼び出されてる。」


「うわーばかだね。」


「うん、ばかだね。」


容赦なく言うきぃに同意した。


「用事?」


「うん、テストに出そうなところまとめたから渡そうと思って。」


「…。」


マメだなぁ。
あんなやつら、ほっとけばいいのに。


「いい子だねぇ、きぃは。」


そう言ってまた抱きつく。


「そんなことないよ。いい子っていうのは、裏表ない子を言うんだよ。」


うわお、かなりの偏見。



確かにそうかもしれない。
きぃは裏表激しそうだもんね。
容赦ないし、自分が一番大事だし。

でも、自分が一番大事なのはみんな一緒だよ。
それに、今までの子たちとは違うから。
ちぃに頼ったりしないから。





君なら、大事にしてくれる?





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