蜜蜂
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「まぁ、あたしがそう思ってるだけだから、気にしないでねきょうかちゃん。」



耳元で言うと。
あ、固まった。

離れて、ほぼ同じくらいの背丈のきぃに笑いかける。
きぃは口をパクパクさせていた。

どうしてって聞きたいのかな?
やけに周りを気にしてる。
そんなに知られたくないのかな?
素敵な名前なのに。


「大丈夫だよ、誰にも言わない。それに、気づいてるのはあたしぐらいだから。」


「……千明が言ったの?」


ちぃ?


「違うよ、ちぃからじゃないよ。……間接的にはそうだけど。」


あのちぃが言うはずないじゃんか。
あの独占欲のかたまりみたいなのが自分から言った日には、きっと地球が滅亡するね。


「?」


「あ、気にしなくていいよ。」


あたしは慌てて、また笑ってみせた。







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