蜜蜂
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「そうじゃなくて、血が繋がってなくてもそう思える人がいることが羨ましいの。」


「ふぅん。」


そんなものなのだろうか。
俺の周りには常にあいつらがいたから、何も思わなかったけど。
うん。
杏花は人と関わるの苦手だもんな。
だからこそ今の状況はきっと、今までで初めての状況で、目の前にして、そういう存在が欲しくなるのかもしれない。


「家族ねぇ…。」


小さく呟いた。


「千明は兄弟いる?それとも一人っ子?」


下からのぞき込んで尋ねてくる杏花。
その角度、可愛い。

…家族。兄弟か。
最近会ってないけど。
俺は彼女に笑って答えた。



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