あの日を追って…
早くここから出なければ…
そう考えると心が焦って思考がまわらない。
とりあえず、アランは部屋の鍵穴を手当たり次第探すことにした。
アランが初めに見つけたのは机の鍵穴。
一つ一つ差し込んでいくと鍵穴がカチャリと音を立てた。
机を開けるとシャルに似た女性と旦那様、とヴェルディが写っていた。
でも妙だ。
普通なら旦那様とヴェルディが肩を寄せあっているはずだ。
しかし、ヴェルディは少し離れて二人を見つめ優しく微笑んでいる。
そして二人の指には指輪が光っていた。
「もしかしたら、この人はシャルの本当のお母さんかもしれない。でもそうしたら何故シャルは覚えていない?」
アランは考えながら再び鍵穴を探し始めた。