あの日を追って…
幼い騎士
シャルアムは眠っていた。
何も気付かない。
自分の身に何かが起きることも…
ヴェルディは足音を盗みシャルの部屋に入ってきた。
「あぁ…何と汚らわしい。寝顔までそっくりだ。あの時と一緒でね!!」
裾から取り出したナイフでヴェルディはシャルアムに斬り掛かった。
赤い雫がシーツを染める。
「ははは、君にシャルは殺らせないよ…」
赤いフードをかぶった少年の胸から雫が流れおちる。
「誰だ…貴様…」
少年は少し笑うとヴェルデを見た。
「僕が誰だろうとお前には関係ない。」
少年はヴェルディを睨めつけた。
「…アラン?もう朝…?」
シャルアムが目を覚ました。
「!?…何これ…」
シャルアムは震えだした。
「血……?これはいったい…」
「シャル、大丈夫。君は僕が守るから、だからお願い。今だけ僕の言うことを聞いて?」
少年は赤いマントの中から刀を取り出した。
「本当はこれで受けとめるところだったけど時間がなくてね…」
少年は鞘から刀を抜きとった。
「貴様ごときに何ができる。我はこう見えても剣術はできる。貴様ごときが足掻いたところでどうにもならんわ!」
少年の目は鋭くなった。
少年はシャルアムに囁いた。
「いいかい、シャル。僕が合図したらドアに向かって走って。それまで僕から離れないで…」
「貴方はいったい…?」
シャルアムが問い掛けると
「幼い騎士だよ」
と少年は笑った。
「話はまとまったか?」
ヴェルディがそう言うと少年は得意げに鼻で笑った。