あの日を追って…
−−−−−−…
少年の背中には少女がいる。
少年は刀を片手に胸から雫を落としながら女を警戒している。
少年は少女を気遣いながら女との間をたもっている。
−−−−−−…
「お母様…何故…」
シャルアムは母親であるヴェルディに問い掛けた。
ヴェルディは一度にこりと笑うとシャルアムを睨んだ。
「気に食わないからにきまっているだろう?あの人は我よりアイツを選んだ。そんなアイツにそっくりなお前が邪魔でしょうがないんだよ!」
ヴェルディはシャルアムに向かって斬り掛かってきた。
少年は一瞬にしてその勢いを止めてみせる。
「シャル!今だ!」
少年はシャルアムに指示をだす。
「でも…そうしたら貴方は」
「いいから!今しかないんだ!」
シャルアムはドアに向かって走った。しかし体がいつもよりよく動かない。
シャルアムの足はいつの間にか止まってその場に立ち尽くしてしまった。
「あ…足が…」
少年はシャルアムの方に気をとられている。
「邪魔をするな!」
一瞬の隙をみてヴェルディは少年を突飛ばしシャルアムの方に向かう。
「シャル!?」
少年は直ぐに体勢を立て直すと少女のもとへすぐ迎う。
矛先がシャルアムの目の前で振り上げられた。
「シャル!」
−−−−−−−…
自分はまだ生きている?
少女はうっすら目を開けた。
どこも痛くない。
何も変わらない…
本当はすごく痛いと思っていた。
でも一つだけ…
目の前で少女を守るように抱きしめている少年がいた。
少年は赤いマントに雫が滲んでぐったりしていた。
少女は自分の手についた雫をみて現実に今帰ったのだ。