あの日を追って…
滲んだ雫。
嗅ぎなれない独特の香り。
静かな息。
全てが少女を壊していく。
「ふん。お前のせいでどのくらい他人に迷惑をかけているか分かったであろう。」
ヴェルディはシャルアムを見下して話し始めた。
「お前は結局、守られてばかりじゃ。他人の役には立たん。」
「そんな…」
「その証拠に今の状況だ。そやつは1人であれば私を倒せただろうに…」
「…」
「さぁ、いらない物は早く捨てて新しいモノに替えなくては。生憎、お前の代わりはもぅ居るのでね!」
ヴェルディは剣を振り上げた。
しかし体が動かない。
「くっ…何故だ!?」
「ふふ…やっと動かなくなったね?獲物はゆっくりって…ね?」
ヴェルディは周りを見回した。
すると周りには糸のようなものがびっしり張ってあり、ヴェルディに絡まっていた。
少年はヴェルディを睨んだ。
「…シャルはいらないモノじゃない。」
「は?貴様聞いていなかったのか?こいつの代わりは…」
「お前が決める事じゃないって言ってんだ!!」
「何を…!?」
ヴェルディの体が締まっていく。
「僕は貴方に破られてから体を探してさまよった。その時僕の体の代わりとなったのが…蛛だ」
「!?」
少年は笑った。
「まさかお前は…」
「はい。お喋りはここまで。遊んであげるよ、お人形さん?」