あの日を追って…
箱の契約
「シャル…
シャルは僕が守から。
シャルが無事なら何も望まない…僕はお兄さん。
血を分け合った無二の存在。」
『大事か。その為なら捨てられるか?』
「誰!?」
少年は辺りを見渡すが
寝ているシャルの他に誰もいない。
『望むものが手に入るならお主は捨てられるか?』
その声は箱から聞こえた。
「箱…なの…?」
『いかにも。我は願い箱。古代の神等しき者により生み出された数少なき箱。望みを叶えてやろう。』
「ほ…本当?じゃぁ、シャルを…シャルを助けて!」
『叶えてやってもいい。しかし我はタダとは言わない』
「え…」
『その代償として、お主の大切なモノを箱に封じ込める。』
「大切なもの?」
『そうだ。』
「僕の大切なものは母上の…」
『違う。』
「え…」
『お主は気づいていないのかもしれぬが…』
箱から髪の長い女が出てきた。
「うぁっ!」
女は少年の頬に手をあてる。
『お主の大切なもの…
それは…』
『お主自身だ』