あの日を追って…
「僕…自身…?」
『そうだ。
詳しく言えば、シャルアムの兄と言う立場。』
「と言うことは…つまり…」
『お主のDNAを箱に封じる。つまりお主はシャルアムの兄ではなくなるのだ。』
「そんな…」
『それでも、この娘を助けたいか?自分を犠牲にしてまで…』
少年はうつむいた。
しばらく考えてようやく口を開いた。
「…いいよ。僕はお兄さん。シャルが大好きだもん。それくらい安いよね?」
少年は微笑んでいたが、
体は少し震えていた。
『…神は残酷よのぉ…。お主の決断は見事としか言えぬ。DNAを封じるのは10日後。我も準備がある。残りの10日をせいぜい楽しむがいい。』
女は少年を撫でた。
『なぁに、兄弟でなくなるだけでそばにいれぬ訳ではない。』
少年は女をゆっくりと見た。
そこには
もぅ女の姿はなかった。