あの日を追って…
兄の影
キャルベリーノ家…
この街一番の権力者と知ったのは
アランがキャルベリーノ家に遣えることになったころ。
シャルアムの両親は
アランがキャルベリーノ家の
従者になることを反対した。
確かにそれは正しい。
キャルベリーノ家は代々
貴族の血をひいてきた。
従者でさえ、貴族にしかなれない。
急にファミリーに入った
部外者がファミリーを殺害する事件はまれにあることだ。
その点で信用のある貴族に従者をやらせるのだろう。
さらに高貴なキャルベリーノ家の従者が無名の少年となると周りの目もおそらく変わるだろう。
だが、シャルアムは
必死に両親を説得した。
あんなにダメだと言っていた両親がある日突然その事を許した。
シャルアムは喜んだ。
しかし、アランには気がかりだった。
何故なら
シャルアムの喜ぶ後ろで
母親と思われる女がアランを見て密かに冷たい目で睨んでいたからだ。