あの日を追って…
ヴェルディは勝ち誇った顔を見せた。
ドアがミシミシと
きしみ始める。
『我に従えば命は助けてやるぞ。お前がシャルアムを殺れ』
少年は怒鳴った。
「ふざけるな!僕はシャルを守る為に今まで生きてきたんだ!お前に従うなら死んだほうがマシだ!」
少年はヴェルディに剣を振りかざす。
「やめてぇぇぇぇ!」
シャルアムが少年に抱きついて剣を止めた。
「兄様…もぅ何処にも行かないで…もぅ私を一人にしないで…兄様がまた居なくなったりしたら…私…」
シャルアムは泣いていた。
泣き顔は昔みたまんまだ…
ちっとも変わってない…
「シャル…」
「僕は兄だが、本体は別にいる。僕は彼とリンクしていて君の所に向かっている…君はもぅ一人じゃない。僕はしょせん、欠片。君を守る為にここまで来たんだ…」
少年はシャルアムに微笑んだ。
「心配ない…ヴェルディを倒し僕が逝ったら、術は解け、彼の中に帰れるはずだ…会えなくなるわけじゃない…」
「兄さ…」
「心配ない…」
少年はシャルアムに微笑むとシャルアムの頭に触れた。
「僕の力が弱まったら目覚められるから…それまで何も見なくていい…」
不思議とシャルアムを光が包み込み、シャルアムは眠りについた。
『お前…まさか…』
ヴェルディは急に顔色が悪くなった。
「僕はシャルが無事に生きてくれればいい…シャルを悲しませる奴は僕が…」
バンッ
「…ッ」
ドアが開いて数名の兵士が少年に銃弾を放った。
少年の体はだんだんと消えてゆく。
「ま…魔石…??」
兵士達が再び銃を構える。
『痛いだろう…??次は心臓を狙え。』