あの日を追って…
「アラン良かったわ」
シャルアムは無邪気に
笑っている。
最初の印象とは少し違う。
「アラン、貴方は今日から私専用の従者よ」
アランは疑問に思った。
初めてシャルアムに会った時は確かシャルアムの専属の従者が居たはずなのに…
「あの…エドワードさんはお嬢様の従者では…?」
シャルアムはムスっとした。
「敬語、貴方は少なくとも私と同じ歳のはずよ?それに私をお嬢様何て呼ばないで」
そのままシャルアムは
そっぽを向いた。
アランは従者と言う立場上の正しい態度をとったはずだった。
しかしシャルアムは気に入らなかったようだ。
「じゃぁ何とお呼びしたら…呼んだらいい?」
シャルアムはちらりとアランの方に向くとまたそっぽを向いた。
「前に言ったわ」
「…シャルアム様?」
アランは戸惑いながら言ってみた。
するとシャルアムは
目をあわせて口を動かした。
「違うわ アラン…前にもいったわ…。親しい友人はシャルと呼ぶと。貴方はもうキャルベリーノ家の家族よ?」
アランはシャルアムの言葉の一つ一つを大切に聞いた。
家族…
何もない彼に次々と…
彼女は彼に温かいものを与える−−−
アランは少し笑って
シャルアムの方へ歩きだした。
そしてシャルアムの目の前に行くと立ち止まり膝をついた。
「…とう」
シャルアムはくびを傾げた。
そしてアランはシャルアムの手を取り自分の頬にあてた。
「…ありがとう…シャル…」
アランは微笑みながら
涙をながした。
この時アランは
気が付いた時の不安、
悲しみ、謎の箱など…
この様々なことをシャルアムに話した。
シャルアムはアランの一言一言を理解して真剣に聞いてくれた。
この時の2人の姿はまるで
きょうだい の様に見えた。
まるでね。