あの日を追って…



−−−−…


シャルアムはアランが手に持っていた銀色の箱が気になった。


「その、銀色の箱ってものを見せてもらっていいかしら?」

シャルアムはアランに尋ねた。アランは何も言わず箱を差し出した。


シャルアムは手にとって
じっくり見てみた。

「中から音がするわ。何が入ってるのかしら…」

「あ…」

シャルアムが急に声を上げた。

「まさかね…」

そういって箱をテーブルに上げた。


「シャル?」

アランは問い掛けた。
シャルアムは下を向きながら話した。


「銀色の箱…昔アンおばさんが持っていたわ。その箱は願いを叶えてくれるんだけど、お兄ちゃんは………ッ」

シャルアムは話すのをやめた。

「ごめん、何か思い出せそうなんだけど…」

シャルアムは頭を押さえて記憶を探る。
だが微かだが記憶を探る彼女の体は震えていた。


「シャル…もぅいいよ」

アランはポンっとシャルの頭に手を乗せた。

シャルアムはびっくりした。

アランはハっとして

「ごめん!つい…」

シャルアムは何だか嬉しそうだ。

「ううん、いいよ。何か懐かしかったから…」

アランも何処か懐かしさを覚えた。シャルアムを撫でたとき
ふと感じたものがあった。あれは何なのだろう。

シャルアムは笑いながらアランに言った。


「アラン!紅茶が飲みたいわ!貴方のの初仕事よ!」

「承知しました」

軽くお辞儀をして
アランは紅茶を取りにいった。不思議と体は紅茶のある場所を知っていて自然と足が動いた。


この日の紅茶は
不思議な感覚がする味だったという。



< 7 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop