clover
幸せのクローバー
山本晴(やまもとはる)、19歳。
僕はとある都内の総合病院の一室にいた。
1万人にひとりの難病が、
僕の身体を蝕んでいた。
「ここで桜を見るのも2度目だな...」
ベッドの上で、読み飽きたマンガを閉じる。
身体に潜んでいた肺の病気が発症したのは、
高校3年生の冬だった。
それ以来、大好きだったサッカーをやめ、
通院しながら高校に通った。
でも、卒業間近で病状が悪化し、
卒業と同時にこの病院に入院した。
元々身体が弱い僕。
完治するのは無理だろうと、
先生が両親に話しているのを聞いてしまった。
結局僕はもう無理なんだな。
何もかも諦めきって、
何もせずに病室でダラダラと過ごしていた。
「山本さーん。薬の時間ですよ」
見慣れた看護士が僕に大量の薬を手渡す。
そして、小さな針を僕の腕に突き刺す。
1日3回。
この大量の薬の摂取と点滴をしなければ、
僕はあっけなく死んでしまう。