涙流~~RURU~~
校舎の中は少しヒンヤリしていた。



私は上履きに履き替え、ゆっくりと階段を登っていく。



うちの学校は教室が1年生が1階、2年生が2階で3年生が3階になっている。



ザワザワと騒いでいる声が階段まで聞こえてくる。



応援の練習かな??元気いいな…1年生かな…?



何段か登ったところで足元に誰かがいることに気づく。



私はゆっくりと視線を下から上へと移した。



「よっ!琴弥、おはよう」



「あ、おはよ…」



と、答えたと同時に向けた視線をまた下へと下ろす私。



それは海道貴人だったから。



階段には私達以外誰もいない。



だから…こんな風に名前をまた呼ぶのか…な。



私はそのまま海道貴人とすれ違い、階段をさらに登ろうとした。



海道貴人に背を向けた、その時…、



「ちょ……と、待って琴…弥」



私は海道貴人に腕をぐっと引き寄せられた。
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