涙流~~RURU~~
目が合ったままお互い視線はそらさなかった。




視線がこっちを向いている。




それだけだった。ただそれだけ。




それだけ。



なのに私の頭の中は混乱状態。



受け取るお釣りを落としてしまう。



慌てる私に、拾った10円玉を渡す店員。



そしてその左手を見る。



絆創膏はもうなかった。



でも左手首に包帯を巻いていた。



何か言わなきゃ。



今…言わなきゃ。言えるなら今しかないよ。



何か…。



心の中の私が叫ぶ。







「あのっ…あの…手、平気じゃなかったんですね」







やっと出せたひと言だった。
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