涙流~~RURU~~
その時、中庭を横切るあいつを見たんだ。



一瞬、目が合ったような気がしてドキっとする俺。



でも次の瞬間には、あいつは何も見なかったかのように無表情のまま校舎へ入って行った。



あいつがそばにいる時はなんとなく感じるんだ。



あいつの存在…気配。



あいつの周りの空気。



「俺、高橋と話があるから、悪いんだけど一緒には食べれないよ」



いつまでもそばにいる女の子達に優しい口調で言った。



俺がいたいのは君達じゃないから…。



「えぇーーー。でもあたしは一緒に食べたいんだもん」



と、その場に座る女の子達。



だから迷惑なんだって…。



どいてくれよ…。



心の中では思うけど、きつく断れない俺。



「貴人、全部その弁当食わなきゃな…見張られてるみたいじゃん」



高橋は俺の耳元でそう言うとニヤっと笑った。



その通りだな。



ふぅ・・・・・。



俺は大きなため息をついた。
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