涙流~~RURU~~
「お前ってさ、どうして俺の事フルネームで呼ぶわけ?」



廊下ですれ違う時、突然、海道貴人にさらっと言われた。



んんっ……考えた事もなかったな。



確かに変かな?でも気づいたらそう呼んでたし……。



「意味はないよ。だってあんたの名前じゃん」



そう言う私を見下ろしながら、



「貴人でいいよ。俺も琴弥って呼ぶから」



と、海道貴人は私の頭に自分の手をそっと乗せた。



「へ?」



呼び捨て??ってこと??……は??あり得ないちゅうの!!



それもなんなのよ、そのこいつの笑顔。



目の前のこいつ……悔しいくらい、爽やかすぎだって。



ただでさえ最近あちこちから痛い視線を浴びてる私。



海道貴人のファンの子達が影でこそこそ言ってるみたいで……。





「じゃあ、そういう事で!よろしく。琴弥!」



は…??私の反応を楽しんでるかのように、海道貴人は私に近づいて耳元でそう囁いた。









< 69 / 219 >

この作品をシェア

pagetop