涙流~~RURU~~
「あ、智也君??」



学校の帰り道…自転車を止め、携帯を取り出し、かけ慣れた番号を押す…。



♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪



「おぅ!琴弥。どうした?」



いつもの優しい声で智也君が出た。



会いたい…。少しでも…。



会いたい…。どうしても…。



『智也君に会いたい、会わなきゃ』って…私の心の中が騒いでいた。



「智也君……今日、会える?少しでもいいから…」



「琴弥からそんな事言うなんて珍しいね!いいよ、会おう」



私の心の中に響いていく心地いい智也君の声。



何度聞いてもほっとして、何度聞いても安心する。



声だけでこんな思いになれるんだなって、智也君の声を聞くたびに実感してしまう。



「そうだなぁ。最近メールとか電話とかばっかりだもんな…予備校行く前だったら少し時間あるよ」



「じゃあ、いつものドーナツショップで待ってるね」



「了解!また後でな」



智也君はそう言うと電話を切った。



プーープーープーー…電子音が耳に届く。



私は携帯を持ったまま、しばらくただの電子音を聞いていた。



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