manaloha
anuenue
小さな女の子だった頃から、大好きなものリストの上位には虹があります。
虹を見ると、気分が高揚してハピィになる。
空にかかる虹なら、消えるまで見入ってしまうし、ほら、車の中なんかで硝子を通る光の屈折加減で小さな虹が出たりするでしょ。
あの虹なら、手に掴んだりぱくぱく食べたりします。
でも大きな虹、日本ではなかなか顔を出してくれません。
ハワイでは一年中虹が出ます。
それでも虹のシーズンというものもあって、雨が多く降る冬から春にかけてよく見られます。
ワイキキの奥に、マノアという場所があるのですが、ここはオアフの中央を走るコオラウ山脈の裾野にある雨の多い谷の町。
ここに虹のおとめの伝説があります。
カハラというその娘はとても美しく、彼女のいるところには常に虹がかかり、カハラが谷を歩くと虹も一緒に動いていきました。
そのカハラに思いを寄せるふたりの若者がいました。
ひとりはカウヒという鮫の神の子孫で、どこか残酷な男。
もうひとりはハンサムな青年で、心も優しく誠実な男でした。
カハラの心がこの青年に傾いたことに気付いたカウヒは、嫉妬心にかられてカハラを殺して埋めてしまいます。
するとカハラの守護霊が梟になって現れ、カハラを掘り出して魔法の力で生き返らせました。
それに気付いたカウヒは、再びカハラを殺し、今度は梟が掘り出せないように木の根の下に埋めてしまいました。
カハラを心から愛していた青年は、恋人の姿をあちこち探していました。
そして、ふと空を見上げると虹がかかっていることに気付いたのです。
カハラはその虹の下だ。
彼はカハラの体を掘り出し、魔法の力で生き返らせてもらいました。
カウヒには、自分の石釜で生きながらに焼かれるという天罰が下りました。
カハラとその青年は結婚して、生涯幸せに暮らしました。
ハワイの伝説にはちょっと残酷なものも多いですが、虹を従えて歩く女の子なんて発想がすてき。
そんな女の子になりたいと願ったものです。
今日も雨が降っているけれど、太陽、顔出してくれないかな。