manaloha
ワンダーバスツアー
仕事場を出た帰り道、バス停まで歩いている時のことです。
私の乗る予定のバスがすぐ横の道路を通り過ぎて行きました。
え!!!?
びっくりしたけど、次に乗るしかないと諦め、バス停まで辿り着くと、運良く、家に2番目に近い終点行きのバスが来たので、意気揚々と乗り込みました。
前から3番目に座ります。
でもここ行きのバスに乗ったことのない私。
このバスが最終地点までにどの道を通って帰るのか分かりません。
幸い、夜だし、日曜だし、バスに乗り込んだのは私ひとりでした。
このバスも少し早めに着いたのか、バス停に停まったまま。
そこで、運転手さんに聞こうと、立ち上がって近付く私が口を開く前に、彼は振り返って言いました。
「パスピー?」
「いえ、違います。このバスはどの道を通りますか?」
彼ははっとした顔を見せると、パスピー今切っちゃったからねぇ、と呟きながら、路線を説明してくれました。
大丈夫な道程です。
お礼を言ってシートに戻ると、運転手さんはまた振り返って言いました。
「運転席のすぐ後ろに座ったら?乗り過ごすと行けないから」
「じゃあそうします」
私が運転席のすぐ後ろに腰を降ろした時にはすでにバスは動き始めていました。
「乗り過ごしてもぐるっと回ってくから大丈夫よ」
彼はそう言うと、あっという間に次のバス停に着きました。
優しくて気さくな運転手さんに、ローカルの良さを感じながらいると、そこに年配のご夫婦がわりと大きな声でお喋りしながら乗り込んで来ました。
お買い物の話は楽しそうです。
その間も運転手さんは道程の話をごそごそと私に話かけて来ます。
私は年配のご夫婦の楽しそうな様子に気を取られていました。
すると、運転手さんは我に返ったようにマイク越しに言いました。