クリスマスの贈り物
私が連れて行かれた場所。

それは近くの公園だった。

「はい。」

近くのベンチで座っていた私の目の前に弘樹が温かいココアを買って渡してくれた。

「ありがと・・・」

私はゆっくりそれを飲む。

温かい・・・


まだ三月だが外は寒かった。

でもこの顔ではどこにも行けない。

それを分かってくれていたのか弘樹はわざわざ公園を選んでくれた。


そういう何気ない優しさを持つ弘樹が好き。

私の気持ちはもう固く決まっていた。


私たちの間には冷たい風が流れていた。


「久し振りだな・・・」

弘樹のぎこちない言葉。

ただ一週間会ってなかっただけ・・・

それでもその一週間は私にとってすごく長い時間だった。


「・・・き。」

「え?」

「すき・・・私・・・弘樹のことが好き!」

私の気持ちが口から溢れていく。

ずっと伝えたかった言葉。

ちゃんと弘樹に伝わったかな?


ここまで成長できた。

弘樹に恋した気持ちは本物なんだよ?

今まで何気なく恋してふられて泣いたり、ちょっとのことでやきもちをやいたり・・・

そういう気持ちにあまりならなかった。


これが本当の私の初恋だったのかな。


もう一生こんな恋はしないだろう・・・
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