瞳の中には君が居て
「こーら!ふたりとも黙らないの!遅刻と身なりよ。」
遅刻と身なり。
ああ…
今日遅刻したっけな…
サボったけど遅刻はしてないような。
ま、いっか。
「遅刻は明日から気をつけて。問題は身なりよ」
めぐこはあたしたちをじっくりみてから言った。
「…まず…、穂積くん。髪、すこし赤いわよ?」
あ、ほんとだ。
しらなかった。
「それにアクセサリー!ピアスも!制服もきちんときなさい。」
きくずしたネクタイやズボンをみてめぐこは声を荒げる。
「星空さん…あなたは直すところが多すぎるわ」
あたしを瞳をじっとみて言った。
「まず髪!明るすぎるわよ。せめてもう少し暗くしなさい。スカート、短かすぎるわ。他の子より遥かにね。それにアクセサリー!ピアスも…カーディガンの色も派手すぎるわ。」
薄ピンクのカーディガンはあたしの趣味じゃ、ないよ。
あたしのお母さんの趣味
あたしは下を向いて、黙っていた。
「………それだけ?」
「ええ。」
「…じゃぁ、俺ら、帰っていいの。」
「いいわよ。明日から直してね。」
「…………」
「…………」
あたしは下を向いたままだった。
穂積ゆきはあたしの手を握ると、職員室から連れ出してくれた。