瞳の中には君が居て

戸惑い




ホームルームがおわると、竜心があたしのところにきた。

「心っ!おはよっ」

「………竜心…おはよう。」

「心はいーの?」

竜心はのぞきこみながら聞いてくる。

「…………?…何が……?」

「一個したのかっこいいヤツ見に行かなくて!」

「…………は…?」

あたしは竜心のことばに顔をしかめる。
竜心はひきつった笑顔を浮かべ、話しつづける。

「いーの?超かっこいいらしいよ。」

「…………何言ってんの……」

「心が好きそうなタイプだよ。」

竜心の顔にはいつの間にか笑顔がなかった。

「……………竜心。」
「見に行けばいいじゃん?」

あたしは竜心の名前を呼ぶ。
だけど竜心はあたしを無視してはなしを進めていく。

「……………りゅ…」
「行かないの、心。俺を好きでいる自信がないから!」


あたしはそのことばにキレた。
ガタッと大きな音をたて、あたしは立ち上がる。

「…………心…」
「……見に行ってほしんなら行ってくるわ。」

あたしは竜心を冷たく見下ろし、竜心に背を向ける。
自分で自分を抑えられなかったのは初めてだった。

「心!」

竜心はあたしの腕を掴んだ。




< 109 / 193 >

この作品をシェア

pagetop