瞳の中には君が居て
「……やめて………」
「……………心……」
あたしは未来を無視し、立ち上がる。
「……………心…」
立ち去るあたしを未来はかなしそうな目でみていた。
「…………………」
いらいらいらいら
あたしのはらわたは煮え繰り返っていた。
だけど、あたしのなかで、
誰かが言う。
―あなたに怒る権利はあるの?
―竜心を大切に想っているの?
―…竜心を利用してるんじゃないの―…
「違う!!」
あたしは…
竜心がすきなの。
心から信頼できるの。
支えてほしい。
あたしのことを支えてほしい。
だけど、あたしは―?
あたしは竜心を支えたいと思ってるの…?
「……………………」
わからなかった。
あたしはこのとき、
わからなかったの。
あたし自身が誰を愛しているか
あたしを理解してくれた。
だけど突然居なくなった、穂積ゆき。
穂積ゆきが居なくなってからも、
ずっと支え続けてくれた竜心。
突然現れ、あたしを風のようにさらっていく、関西弁の神原ゆき。
彼氏が竜心なのに、
こんなこと考えてしまう時点でおかしいのに。
あたしは生きるのに必死だった。
―あたしは狂ってた。