瞳の中には君が居て



あたしは走って教室に向かう。
扉を開けるといつも一番に来るはずの竜心も今日はこなかった。

…当たり前だ。

なのに、ショックをうけるあたし。

「…………………」

あたしも竜心に何も言えないまま、時間だけが過ぎた。


三時間目が始まるまえ、教室にきた目立つ集団。


「心!」
「…………………!」

神原たちの集団だ。

海斗はあたしのところまでやってきて、笑顔をつくると言った。

「先輩っ、俺たち、きのうのトコいきますけど!」

先輩もいきませんか?と言うように海斗は目を輝かせた。
あたしはチラと竜心をみたが竜心は気にもしてない様子で、友達とグラウンドをみていた。

行ってはいけないと思った。

決して、居心地が悪くても行ってはいけないと。


だけど…心より先に、
からだが動いてしまったんだ。


「…………行く。」


ああ、あたしは。
どこまで竜心を傷付ければ
気が済むんだろう。

あたしは、最低な女だった。
自分のことしか考えない、
最低な女でした。

だけど竜心がいない、今―
あたしの居場所はなくなってしまったんだ。

あたしは教室での居場所もなくなった。



…きっと。
教室を出るときにみた、
竜心の顔は

きっと、きっと。


一生忘れない―…




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