瞳の中には君が居て



あたしは黙ってゆきたちのあとについていった。


悲しくて悲しくて、あたしはあることを忘れていた。

「おい。まてよ、てめえら。」


突然、後ろから聞こえてきた声。

「……………あ?」


さっきまでふざけて笑っていた航輝がこわい顔をして、不機嫌な声をあげた。


「お前らに、直接用はねーんだよ。用があんのはそこのオンナ。」

「……………は?」

あたし?
あたし、何かしたっけ?

あたしが首をかしげていると苛立ったようにそのひとが言った。

「とぼけてんじゃねー。いっしょに帰る約束したのに断ったろうが。」

「………………えー?」

あたしはまた考え込む。

「………あ…手紙…くれた…」
「そーだよ!やっと思い出したか!」

やっと、思い出した。
あの手紙ごみ箱に捨てちゃったからなー。

「何お前ラブレターなんて書いたの!?」

航輝がすっとんきょな声をあげた。

「…そっ、そーだよ、悪ぃか!」


そのひとが答えると、航輝は爆笑、他のメンバーはあきれかえった。


「…………アホらし……行こうや。」


ゆきがあたしを引っ張り、歩いていく。

それに続いてみんな歩き出した。

「じゃーね。恥ずかしいお兄さん♪」

航輝がそういうと真っ赤にしたそのひと。
今度はみんな爆笑した。




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