瞳の中には君が居て



「……………あたし、帰る」

あたしは考えがまとまらなくて、そう言った。
そんなあたしに海斗は、

「え?どうして?」

と、心配そうに聞いてくる。

「……………何でもないよ。………ちょっと考えたいことがあるの」


あたしは心配させないようにちょっと微笑んだ。

「ごめんね、また明日ね」

あたしはそういうと、路地裏とは反対方向に歩きはじめた。



―――考えたいこと。
それはふたりのゆき。

風のように消えていったゆき。
嵐のようにやってきた、ゆき。


…どう考えてもおかしいもの。
似過ぎた顔立ち。
声、性格。
双子じゃない限りありえない。
ありえないことが、ふたりにはおこってる。

あたしは真っすぐ家へ帰ると、穂積ゆきと神原ゆきに関する情報を探しはじめた。
転校前や転校後。

出てきたものはすべてメモをとった。




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