瞳の中には君が居て



「……竜心とはね、別れるつもりは、ないんだ。」


あたしがはなしだすと、海斗は黙った。

「………たとえ、あたしが心変わりしたとしても…あたしは竜心と約束したから…あたしは別れれないよ」
「…そんな…でも…」


あたしのことばを聞いて海斗はかなしそうなかおをした。


「……いいの。…あたし、竜心すきだし」
「…………」
「だけど、海斗。あたし…ゆきが気になって仕方ない。穂積と…似過ぎてる、神原が」


あたしのことばに海斗はびっくりしたようだ。


「先輩…前も聞いたけど、穂積って…?」
「…うん。穂積ゆき。かおも性格も声もすべて神原ゆきに似ているおとこのこ」
「……………!」
「…だから、あたしは惹かれているのかな」


わからない。
わからないから困るんだ。
あたしがしっかりしないと。


あたしは海斗の目を見ながらいった。
海斗の目はどんどん、怒りに満ちていった。


「………そんなの、最低だ!!」


突然怒った海斗。
海斗が声を荒げるのも、怒るのも、はじめてだった。


「………海斗…?」
「そんなの、先輩の勝手じゃん!ゆきがかわいそうだ!」
「………………」


すごい勢いで怒る海斗に何も言えなくなってしまうあたし。


「先輩はもっと一途なひとだと思ってた!」
「……かい…と…」
「俺、もう行くね!」


すごい勢いで怒った海斗。
だけどその瞳はかなしみに埋もれていて。


あたしは海斗をすくいたい…
心から、そう思ったんだ




< 145 / 193 >

この作品をシェア

pagetop