瞳の中には君が居て



そして、海斗ははなしだした。
自分の過去を――


――中学二年生――海斗


「あっ!先輩!」

俺には二つ年上の彼女がいた。
名前は桃。
桃に告白されて付き合った。

「海くんっ」

桃は嬉しそうな顔でやってきた。

「海斗でいいって、先輩」
「…あー…うん、ごめんね…」

俺と桃は順調だった。
そう、あの日までは…
いや、最初から全然順調じゃなかったのかもしれない。


12月24日 クリスマスイブ。


「先輩、帰ろ!」


俺は今日の約束をワクワクしながら桃に抱き着いた。
今日はクリスマスディナーに行って、ホテルのケーキを食べたあと、ホテルにおとまりだ。

だけど呼びかけても桃は答えない。
俺の声が聞こえていないかのように、じっと一点を見続けている。

「………せんぱ…」

俺が声をかけようとしたとき、桃は振り向いて驚いて言った。

「…海くん…っ!いつから……っ」
「いまからだけど?」

俺が言うとほっとした顔をみせたあと、いそぐように言った。

「…は…っ…早くいこ…?」
「……何で?まだレストランまで時間あるよ?」
「……女の子はイロイロ大変なの!オシャレしたいし、髪巻きたいし!」


桃は頬をふくらませながら言った。

少し異変を感じつつも今日という日を楽しみたかった俺は笑って言った。

「はいはい…」

これがいけなかったのかもしれない…
俺はもう、桃にハマっていくだけだった…




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