瞳の中には君が居て
俺たちは予約してあったホテルのレストランへ行った。
俺が予約したホテルのレストランは一番窓側。
このために三ヶ月前から予約しておいた。
料理も席も少々お高いのだけれど。
席につき、料理が運ばれる。
おいしそうなにおいがした。
スープを一口飲んで、桃はいった。
「おいしい…!」
「気に入った?」
「すごく!」
「気に入ったならよかったよ」
俺は微笑んで言った。
俺はクリスマスプレゼントをいつ渡そうか悩んでいた。
上のホテルで渡そうか…
レストランで渡そうか…
そしてとうとう最後のデザートが運ばれてきてしまった。
いちごのシャーベットだ。
いちごが好きな桃はうれしそうのシャーベットを食べた。
「…そろそろ…出ましょうか、海くん」
口をナプキンで拭いた桃は立ち上がった。
「あ…っ、うん」
「じゃあ、いこっか」
桃は小さなバッグからきらきら光る財布を取り出しながら席を立った。
…えっ…?
まさか…だろ…?
「桃…っ」
俺は桃の腕をつかみ、引き止めた。
「いいって…!俺が払うし!」
「…もう。年下なんだから、むりしなくていいの。調べたわよ、このレストラン。すごく高かったわ、フルコース。しかも窓際なんて…ありがとうね」
桃はそう言ってそのままレジへと行き、一万円札を五枚出した。