瞳の中には君が居て




あたしがはじめて会ったひとに涙をみせるのは、はじめてだった。

あたし自身もびっくりした。

「…あれ………何であたし…」

おばあちゃんは最初驚いていたが、やがて優しい笑顔になると、あたしの頭を撫でた。

そんなおばあちゃんの優しさがまたうれしくて、あたしは涙を止められなかった。

あたしが泣き止んだのはもう夕食の時間だった。

「……心ちゃん…いまから夕食作るわね?座ってなさい。」

おばあちゃんは心配そうに覗き込み、あたしの頭を撫でるのをやめてキッチンへ向かっていった。

「…………」

カチャカチャカチャ…

食器や道具の音がする。


しばらくしておばあちゃんはお盆を持って戻ってきた。

「食べなさい。」

お盆のなかのどんぶりにはうどんがおいしそうな湯気をたたせていた。

あたしははしを持つと、うどんをひとくち、食べた。


「………おいしい……」
「そう?よかったわ。」


ほっとした笑顔になるおばあちゃん。





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