瞳の中には君が居て



毎日毎日順調だと思っていたのは俺だけで。

終わりは刻一刻と迫っていた。



カウントダウンは、
もう始まっていた。




俺がそれに気付きはじめたのはクリスマスを過ごした数日後。


「せーんぱいっ」


俺はいつものように桃に抱き着く。

「か…海くん!」
「海斗でいいよ?」
「…う…ううん…これがいいの…」
「…………?」


いままでは気にもとめなかった、呼び方。
桃は海斗、ではなくて、海くん、海、と呼ぶ。

俺の名前は海斗なのに。
ちゃんと名前で呼んでほしいのに。



海じゃないのに―…



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